Ericaの本棚

福大法学部2年が綴る、面白かった本をひたすら推すブログ。年間100冊を目標に、忙しくてもコツコツ読書を楽しむ日々。たまに研究のことも書く…かもしれない。

『調幻の氷翠師』

こんにちは、Ericaです!

今回から(マイペースに)本の紹介をしていきたいと思います(^^)

 

 

 

記念の1冊目

私が1冊目に選んだのは、麻木未穂 著『調幻の氷翠師』(富士見L文庫)

f:id:ericalovebooks:20190908104337j:plain

「そもそも富士見L文庫って何?」という方のために、少し説明を。

富士見L文庫は、2014年に創設された「大人のためのキャラクター小説レーベル」

「大人が見つけるナゾとユメ。」のキャッチフレーズも素敵です!

 

 

 

作品のあらすじ

「あらすじって重要なの?」と思う方も当然いることでしょう。

しかし、私はあらすじが好きなんです!(謎の宣言)

あらすじは、作品と読者が出会うきっかけの1つ。

ここで読者(仮)にトキめいてもらえれば、第一関門は突破できたと言えるでしょう。

※あくまで、かつて小説を書いていた私の持論です。

 

 

では気を取り直して、この作品のあらすじを簡単に。

舞台は西大陸ケナージュローゼ。

ここでは男性が女性に愛を捧げる「リーフィンと呼ばれる風習があります。

女性の爪の表層に精巧な彫り物を入れる美しい文化で、10本目のリーフィンを申し出ることが正式なプロポーズとされます。

 

そして主人公のシェネラは、リーフィンの職人「青入れ師」。

15歳で号を取得して独立し、現在21歳となった彼女は、技術も評判も高い職人です。

しかし彼女の爪には、リーフィンがありません。

ケナージュローゼでは20歳までに結婚するのが一般的で、21歳になってもリーフィンがない女性は珍しいのです。

 

とはいえ、彼女に想い人がいないわけではありません。

得意客から「顔だけが取り柄のぐうたら亭主」と批評される、美しい男性ルネ

彼は不定期にシェネラの家を訪れ、共に時間を過ごすパートナーです。

しかし「リーフィンを贈らないような男はダメ!」と得意客はシェネラを心配し、「ルネと別れるように」とまで言い出す始末。

それでもシェネラは、ルネとの関係を絶ちません。

なぜなら、彼らは大きな秘密を抱え合う特別な関係だから。

 

そんなある日、大雨の中、謎めいた男女がシェネラの家を訪れます。

2人の登場は、彼女の運命を、未来を、変えるには充分すぎるものでした。

そして舞台は大陸の反対側クロウァッハへ移り、4人の旅が始まります。

しかし旅は次第に、大陸の未来をかけた闘いに発展してしまうのでした…

 

 

 

この作品を推す理由

私がこの作品をオススメしたい理由は、以下の3つです。

①物語が細部まで丁寧に設計されているから

②「愛とは」「普通とは」といった重いテーマを、自然と考えさせてくれるから

③ファンタジーが得意でない私でも、最後まで楽しめたから

 

まず①。私が最も感動したのは、リーフィンの設定でした。

この文化はネイルアートに近いですが、10本目の申し出がプロポーズになるなど、美しい設定が組まれています。

しかし美しさに加え、異文化なのに読者の肌に自然と馴染むことが素晴らしいと思います。

私は以前ファンタジーを書いたことがありましたが、自分の生んだ異国の文化や空気に混じる違和感を解消できず、作品を中途半端にしてしまいました。

「プロだから上手くて当然だ」とも言えますが、私は麻木さんの設定力に深く感動し、尊敬の念を抱きました。

 

次に②。

あくまで私の感覚ではありますが、この作品には「愛とは」「普通とは」「善とは」といった普遍的な問いが漂っていると思いました。

哲学的な問題ではありますが、そういったテーマを忍ばせ、良い後味を残す作品が、私は好きです。

 

最後に③。実は私、あまりファンタジーが得意ではないのです。

理由はカタカナが苦手だから(これでも高校では世界史選択でした…)。

しかしこの作品は本格ファンタジーでありながら、カタカナが多すぎず、非常に読み進めやすいと感じました。

 

 

 

まとめ

そんなこんなで、今回は麻木未穂さん著『調幻の氷翠師』(富士見L文庫)をご紹介してきました。

実はつい数時間前に読み終えたばかりなので、「面白かった!」というテンションのまま勢いで書いた感じもありますが、魅力が少しでも伝わりますように。

 

この素敵な作品を、是非皆さんにも読んでいただけたら幸いです!

それでは、また。